Quantcast
Channel: サーカスな日々
Viewing all articles
Browse latest Browse all 542

303日目「柚木沙弥郎展(鎌倉近代美術館別館)」鎌倉

$
0
0

姪っ子メグ ようやく桜が本格的に咲いたわね。今週は、みなさんあちこちでお花見に。
キミオン叔父 ここ鎌倉も久しぶり。東京からは朝比奈インターから鎌倉霊園のほうから入ったけど、さすがに鎌倉八幡神宮の手前から渋滞が激しかったね。
仕方ないわよね。どこも駐車場は満杯で。ここ鎌倉近代美術館に駐車できたから ラッキーだった。
車をそのまま置いてちょいっと腹ごしらえに出たけど、しいたけの丸ごと揚げはうまかったな。
で、本館のほうでは、石元泰博さんの「桂離宮」展。これは何度も見ているけど、毎回すごいなあ、と。この本館はモダン建築の第一人者である坂倉準一 さんの設計だけど、オープンしたのが1953年なのね。おじさんの生まれた年じゃない。で、石元さんの『桂離宮』も53年から54年の連作ということで。
石元さんは先日お亡くなりになったけど、サンフランシスコ生まれで、高知に戻ったりもしたけど、またアメリカへ、そこで強制収用もされたりしたけど、建築学や写真術を学んだ。ニュー・バウハウスといわれるシカゴ・インスティテュード・オブ・デザイン だね。モダニズムを引っさげて、また日本に来たときに出会ったのが「桂離宮」。ここに日本的モダンデザインを見出したんだ。
もちろん、離宮の隅々まで計算されつくした建物や内装やの美しさも切り取られているんだけど、なんといっても敷き詰められた庭石や舗石の造形の美しさ。以前、テレビでも離宮の特集番組があったけど、月夜の淡い光に照らし出される妙を、計算し尽くしているのよね。
「桂離宮」に惹かれる外人さんも多いけど、こんなの世界中探したってないよな。

別館は、柚木さんという現役90歳の方だけど、楽しかった。東大美学を出て、学徒動員、復員後大原美術館で勤めるのね。で、「民藝運動」と出会って、芹沢さんに師事する。
型染布の作品や、タペストリーのような紋様や、紙と水彩の作品や、布のコラージュだけで仕上げたり、多彩な人だけど、独特の自在さというか遊び心があるね。
今回はとくに02年にお亡くなりになっているけど、ほぼ柚木さんと同世代の児童劇作家である村上亜土さんの遺作をもとに、作品を作っておられる。水彩素描もあるんだけど、布のコラージュが面白い。民話風のものも、動物劇のようなものもあるんだけど、とても上手にコラボしている。
圧巻は、『夜の絵』シリーズ。孤独な画家が自分の作品の究極に苦悩し、貧しい生活で部屋から外を眺めるだけの生活で、だけど作品が描けないままで・・・。貧しい住居に雨だれが落ちて、コップにたまった雨だれの中に、彼が求めていたものを見出す。そして死んでいくんだけど、満足そうな笑みを残して。
それを、柚木さんは、暗めの色調の布の組み合わせだけで、その孤独な画家の心象風景を表現するのね。 なんか胸がいっぱいになってしまった。ああ、こういうコラボの仕方もあるんだなあと。
村山亜土のおやじさんは、画家、劇作家、演出で有名だった村山知義。お母さんも童話作家だった。村山知義は当時のプロレタリア文学を代表するひとりだった。そんな両親の元に生まれて、逆に自分のアイデンティティに苦悩することもあったんじゃないかな。で、柚木さんも、祖父が南画家の泰斗、父も洋画家だから、なにか共通するものを感じたのかもしれない。
あたし、古着物の布切れとか結構コレクションというかたまってしまってるから、柚木さんみたく布コラージュしようかなと思ったの。型染布はちょっと修行が必要だろうけど、コラージュだったらすぐに始められるかもしれない。
いいじゃない。やっぱり童話で?
あたし、天体物理学専攻だからね。宇宙の世界を、布でコラージュするの。できるかどうかわかんないけど、今日の展覧会で触発されちゃったわ。 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 542

Latest Images

Trending Articles